ボンドボンゾ歴史-1-

ゴリラ

1.Cool Britannia
2.The Equestrian Statue
3.Jollity Farm
4.I Left My Heart In San Fransicso
5.Look Out, There's A Monster Coming
6.Jazz, Delicious Hot, Disgusting Cold
7.Death Cab For Cutie
8.Narcissus
9.The Intro And The Outro
10.Mickey's Son And Daughter
11.Big Shot
12.Music For The Head Ballet
13.Piggy Bank Love
14.I'm Bored
15.The Sound Of Music

Gorilla(ゴリラ)1967年10月

■記念すべきファースト・アルバム。この「ゴリラ」の時には、のちの中核メンバーのスタンシャル、イニス、スレイター、スピア、スミスにヴァーノン・ダドリー・ボヘイ・ノエル(ベース)、サム・スプーンズ(パーカション)を加えた7人。■アルバム冒頭の1がいきなり「ルール・ブリタニア」という愛国的なトラッドの替え歌。同時代の他のイギリスのバンドとアプローチは違うけど、スウィンギン・ロンドンだなぁ。3、9、10のような理屈抜きに楽しい曲が多いのもこのアルバムの素敵なところです。■イニスの2はビートルズ風の曲としても楽しめますが、メロディの美しさを考えるとパロディと呼んでしまうには惜しい。9はスタンシャルのMCによるメンバー紹介にどんどん楽器の音がかぶっていくもので、パブでのボンゾのライブってこんな感じなのかな、という雰囲気がイイ。アドルフ・ヒトラーとかジョン・ウェインなんていういるはずもないメンバーまで紹介されていたりして。ハードボイルド小説風のスタンシャルの語りが展開される11もジャズですね。■このアルバムはカヴァー曲も多いのですが、そのセンスもなかなかにボンゾ(4、10、15あたりなんか腰くだけ)。ジャズのインスト曲6は冗談抜きにかっこいいし、12はチェンバロの音がいい味を出しています。そういえば、ボンゾはチェンバロとかリコーダーといった室内楽の楽器もよく使っていて、曲に物語的な色味をつけるのがうまい。■ところでジャケット内側のイニスの手による自画像イラスト、どこがアートスクール出身やねんというかヘタウマというか…。

ドーナッツ

1.We Are Normal
2.Postcard
3.Beautiful Zelda
4.Can Blue Men Sing The Whites
5.Hello Mabel
6.Kama Sutra
7.Humanoid Boogie
8.Trouser Press
9.My Pink Half Of The Drainpipe
10.Rockaliser Baby
11.Rhinocratic Oaths
12.11 Mustachioed Daughters

The Daughut in Granny's Greenhouse1968年11月

■ファーストに比べて、イニス色というかロック色の強くなったセカンド。でもジャケ写からして意味不明。ちなみにこの時点でスプーンズとノエルが抜けて5人組。■水中での意味不明の会話を綴った1でスタート。6みたいな短い曲で笑わせつつも、3とか7とかSFチックな曲が印象に残る一枚。■とりわけ宇宙人の女の子へのラブ・ソングである3は、スペーシーなイントロとイニスの切ないボーカルが耳に残るお気に入り。■スタンシャルの歌謡曲風(?)の9ではスペインでのホリデーが揶揄されていますが、モンティ・パイソンの「旅行代理店」のスケッチでもそんなのありました。スピアのクレイジーな8も注目。10はイントロのギターがイニスっぽくないけどかっこいい。11は1stに入っていた"Big Shot"みたいな語りの曲ですが、バックの音もスリリング。12はスタンシャルが後にソロ作品でも取り上げるアフリカ風のパーカッションとコーラスを導入。未来感覚と原初の音の混在する謎のアルバムだが、古代文明を作ったのも宇宙人かもしれませんしね。
■US盤は一曲目に3rdのヒット曲"I'm the Urban Spaceman"をプラスして13曲入り。アルバムタイトルも"Urban Spaceman"となっていてSF気分をより前面に? 私が所有して愛聴しているのもそのUS盤CDの方ですが、オリジナル英盤とミックスが変更されてしまっている(曲の冒頭のスタンシャルの笑い声が消されている)。

タッドポールズ

1.Hunting Tigers Out In "Indiah"
2.Shirt
3.Tubas In The Moonlight
4.Dr.Jazz
5.Monster Mash
6.I'm The Urban Spaceman
7.Ali Baba's Camel
8.Laughing Blues
9.By A Waterfall
10.Mr. Apollo
11.Canyons Of Your Mind
(注:上はオリジナル英国盤の曲順)

Tadpoles(タッドポールズ)1969年8月

■テレビの子供番組でボンゾズが演奏した人気曲を集めて作った一枚。そのせいかなんとなくほのぼの調の曲が多い。■1と7なんかがその子供向けの物語でお気楽な異国情緒がマル。■5のフランケンシュタイン博士の笑い声から続く6はP.マッカートニーのプロデュースでヒットしたイニスらしいメロディアスな作品。が、ドラッグのことを歌っているとも読め、子供番組での人気曲にしては不思議なもの。スタンシャルによるリコーダー間奏がいい。ライブの映像を見るとスピアはこの曲では楽器も持たずにひたすら意味不明のパフォーマンスをしてます。楽しい人です。■スタンシャルという人は9で可愛い可愛いラブソングを披露したかと思えば、11では妙に毒々しいセクシーさを振りまいています。ついでにゲップも。■ホーンをフューチャーしたスピア作曲の3は夏の夜に聴きたいノスタルジックな一曲。インストの4もとぼけつつもかっこいい。これもスピアのセンスなんでしょうね。8ではレッグ・テルミンという隠し芸(or前衛芸術)も披露。なお、デニス・コーワンはこのアルバムからの参加。
■US盤では6がセカンドに入っている関係で代わりに"Rady Made"(ダダの美術家マルセル・デュシャンの作品を連想)が収録されていて、なんかレイ・ディヴィスっぽいメロウさ。

ケインシャム

1.You Done My Brain In
2.Keynsham
3.Quiet Talks And Summer Walks
4.Tent
5.We Were Wrong
6.Joke Shop Man
7.The Bride Stripped Bare By "Bachelors"
8.Look At Me I'm Wonderful
9.What Do You Do?
10.Mr. Slater's Parrot
11.Sport (The Odd Boy)
12.I Want To Be With You
13.Noises For The Leg
14.Busted

Keynsham(ケインシャム)1969年11月

■傑作の呼び声高い4枚目は噛めば噛むほど味の出るスルメのようなアルバム。イングランドのぱっとしない街ケインシャムを舞台にしたトータル・コンセプト・アルバムとでも言うのでしょうか。曲間に短い語りなども。ボンゾズが何を伝えたかったのかは何度聴いても分からないが、不思議と何度も聴きたくなる謎に満ちている。■3はイニスのピアノが美しいビートルズ風のバラード。4はスタンシャルらしいロックンロールで歌詞も分かりやすい愛の歌。イニスの方の愛の歌12も分かりやすい歌詞と親しみやすいサウンドで、聴き比べるのも面白いかも。7はバスで各地をまわるツアーバンドの賑やかな旅程を歌ったもの。なんとなくフーっぽいギターリフの9はバックで鳴っているトランペットが印象的。■11は美しいチェンバロのイントロから始まってリコーダーが主旋律というある意味とてもボンゾらしい曲。「スポ〜ツ、スポ〜ツ」と野太いコーラスで腰くだけになったところで、モンティ・パイソン風(と思うのは私の基準ですけど)にお手紙の読み上げがあるという静謐さ。■13のレッグというのはこの曲でファゴットとともにフューチャーされているスピア愛用の足の形をしたテルミン。ロックというより前衛芸術とでも呼びたくなるけど、ちゃんと楽しいところがすごい。

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