フィンズベリー・パーク

ロンドンでの宿は地下鉄Zone2ぎりぎりの駅であるマナーハウスにあるホテルを取った。ロンドンを周るのにはこのZone2以内というのがとても重要なのである。ワンデイ・トラベルカードを購入すればそのZone内のチューブとバスは乗り放題だからだ。ちなみにZone1&2が一番安いカード(当時3ポンドぐらい)で午前10時過ぎから利用できる。地下鉄だけではなくゾーン内のバス(ダブル・デッカー)も乗り放題です。

Seven Sisters Roadに沿ってたくさんのホテル(B&B)が並んでいたのだが、僕の泊まったところは初日のGower Street沿いのB&Bと比べて格段値段が安いのであった。勿論部屋内にシャワールーム無しのシングルだが、朝食はイングリッシュ・ブレックファストというのがよろしい。イギリス、特にロンドンへ行かれる方はB&Bを選択されるときは朝食にはこだわった方がいいと思う。コンチネンタル・ブレックファストといった紅茶、コーヒーとトーストのみの朝食じゃ悲しいものね(*注 ツアー等で三ツ星ホテルへ行かれる場合は心配は無いと思いますが…なんたってイギリスで一番おいしいのは“朝食”らしいので…)。イングリッシュ・ブレックファストというのはその他にオレンジジュース、ベーコンエッグとビーンズなど、さらにコーンフレークなどのシリアルが付くのである。ちなみに僕はウィータビックスという麦で出来たシリアルが気に入ったのだけど、未だに日本で拝むことは出来ないでいる。リバプールのYMCAでも食事が良かったと思ったが、ロンドンでもこのホテルでの食事には満足だった。毎朝同じメニューだけどね…。
一見このホテルは良いところばかりのようだが、実はこの辺りフィンズベリーパークの傍だが環境はあまりよろしくない所らしい。
夜になったら辺りの一人歩きはしないほうが良いそうだ。と言われたのは近所のパブに「スカイ」でのサッカー中継を見に出かけて帰った後。幸運にも無事だった私ですが。

ところでイギリスでの食事を語るときにもうひとつ忘れてはいけないものがある。それは“フィッシュ・アンド・チップス”である。
(*注 え〜僕はグルメではないのでドーヴァー・ソールとか何やらは食べたことはありません。)
鱈や鰈など白身の魚(コッド、ハドック、プレイスなど)をバターと呼ばれる小麦粉の衣をつけて揚げたものに、チップスというじゃがイモをスティック状にして揚げたもの(いわゆるポテトフライ)が付け合わされる。魚は日本で食べる鱈などより大きく身が締まっていてとても美味しい。チップスもマクドナルドのポテトより太くて数段美味しい。じゃがイモの種類も皮が赤く、日本のものとは違う種類のものらしい。ちなみにポテトチップスのことは「クリスプス」という。
これらに塩とモルト・ヴィネガーと呼ばれるちょっと癖のある臭いの酢をたっぷりかけてほおばるのである。あ〜美味!ちなみにこのモルト・ヴィネガーはハインツのものなら日本でも手に入る。
僕はロンドンで初めてこの代物を食することが出来たのだが、「感動」の一言であった。多少店によっては「いただけない」物を出すところがあるが、ホテルのそばの黄色い看板の店はとってもお勧めのフィッシュ・アンド・チップス店だ。いまいち店員のアラブ人が何喋ってるか判らなかったのだが…。
(*注 あなたがイギリス旅行をした際、フィッシュ・アンド・チップスに感動されなくてもそれはただあなたが普通の人だからです。)

コックニー訛り

ティムがとってくれたプレミア・リーグの試合を観にウェストハム・ユナイテッドの本拠地アプトン・パークへ出向く。この辺りはロンドン・イーストエンドにあるのでコックニー訛りが耳に付く。「アイトクゥイッド、アイティーペーンス(8ポンド80ペンス)」って言われてもねぇ〜。ちなみに“クゥイッド”とはポンドのことでみんな使ってます。が、銀行で両替するときとか“クゥイッド”とか言っちゃいけません。彼ら“銀行員”はシャレが通じませんから。グッダイ!
そのアプトンパークにて初めてのイングランド・フットボール体験ウェストハム・ユナイテッドアーセナルの試合を観る。試合前にクラブ・ショップにてスカーフやら、マッチ・プログラムやらお土産の品々を買いこむ。レプリカシャツ、アパレルなどのチーム・キャラクター商品はわりと高めだ。買い物は早々に終え、手持ち無沙汰なのでスタジアム内に入場することにしよう。席は全席指定席なので試合直前に入ればいいのだが、入場方式が意外と厳格というか、日本の遊園地のように一人一人入らなければならないので時間がかかるようだ。さて、案内された席に行く。列の中の方なので「Excuse me!」を連発しながら通してもらう。席の前には屋根を支える鉄骨があってちょっと見づらい。席の幅も本当にイギリス人サイズなのかと思うほど狭いし、スタジアム自体も古く照明も暗い感じだ。正直設備には少しがっかりしたが試合前から始まるサポーター達の歌声で否が応でも興奮している自分がいたのだ。イングランドのサポーターは笛やドラムなどの鳴り物一切無しに歌声を合わせている。男の野太い声で歌われるそれは物凄くかっこいい。Jリーグのサポーターの多くはイタリア・セリエAの応援スタイルを真似たものだそうだが、イングランドのスタイルは正に“文化”を感じるのだ。日本のサッカーも文化といわれるまでどれくらいの歳月がかかるかわからないが、是非日本流のスタイルを定着させて欲しいものです。
試合はアウェーのアーセナルが勝った。後日観に行ったホワイト・ハトレーンでのトッテナムチェルシーでもアウェーのチェルシーが勝利したので、僕はきっとホーム・サポーターにとっては疫病神だったに違いない。
試合後がこれまた圧巻で、スタジアム周辺は人・人・人により交通麻痺状態。騎馬隊によって交通整理がなされていた。僕が観た2試合はたまたま二つともロンドン・ダービーだったのだが、これがロンドンの日常なのかと面食らってしまったのであった。
(つづく)