倫敦散策

初めての英国旅行はここロンドンが最終地。来る前は十分に思われた2週間という時間もあっという間に過ぎてしまった。長年抱き続けた憧れに触れることが出来て、様々な経験を与えてくれたこの旅行は僕の最初で最後のイベントになるはずだった。が、ここで得た財産はその後の僕を変えることになる。

ロンドンでの僕はあいかわらずのレコード屋めぐり、定番のアビーロード、週末のカムデンポートベローと楽しいことばかり。特にカムデンは大のお気に入りで一日中居ても飽きない感じだ。夜はロンドンのパブへ(ロンドンは高いけど)入り浸っていた。
ただこの街は東京に似ているところがあるので、僕にとってはこれまでに周ったリバプールトーントンの方が新鮮だった。世界の大都市は皆同じ様なのだろうか?
残念ながらレコード狩りの成果としてはボンゾズ関連のコレクションは増やすことは出来ず、カムデンでゲットしたビートルズとパンク物が少し増えただけだった。レコード屋は当初調べてきたほとんどへ行ったが、何件かは無くなっていた。やはり値段の相場は他の都市や、今まで通販で購入した物よりも高めなのは仕方ないか。SOHOにあるレックレスミュージック・ビデオ・エクスチェンジなども意外な穴場だった。
そういえば僕のロンドン滞在中、ちょっと郊外(zone6ぎりぎり)に住んでいるビートル・ディーラーのアラン氏に会いにも行った。彼とは特別オタク話をするではなく、ごく普通のことを語らいだ。ここへ来て僕の会話能力もかなり上達してきたのだ。とにかく旅行中に人と話すのが楽しくて仕方が無かった。僕ってこんなに社交的だっただろうか…?

チェルシーに行った時にロジャー・ラスキン・スピアーを訪ねてみようと思ったが、彼の勤めるアート・カレッジの場所がわからず断念した。しかし調子に乗って行ったところで会えるかどうかもわからないのだけど…。彼がまだ教鞭を振っているかもわからないし。

またもや…

旅行のきっかけは退職だった。時間ができたのを良いことに後先考えずの行動だった。
ところが旅行から帰ると元の職場から「戻ってきて欲しい」との打診があった。本当はここでやめとけばよかったものの、自分は今無職だということに我が返り、その申し出を受けてしまったのである。その後の一年間のことを語るのはとても辛いので省略するけれども、僕はまんまと罠に嵌って行ったのだった。
結局その仕事を葬る役を任せられた僕は、その役目が終える頃はまたしても精神状態がボロボロになってしまった。
しかし、当時そんな僕にフィオナがかけてくれた言葉を今でも忘れはしない…

Monty Python said "Always look on the bright side of life"

初の旅行以来、ずっと懇意にしていた英国の友人がくれた言葉はまさにピッタリだった。ティムも僕のことを心配してくれ、自分で編集したテープを送ってくれた。収録されていた曲はとてもじゃないがハッピーになれないような曲調のものばかりだったが、彼らの気持ちは十二分に伝わってきた。
仕事で孤独を感じ、自暴自棄になり、くじけそうになっている時に自分はひとりじゃないなんて事を突然悟ったのだ。もちろん日本にいる友人と酒を飲んだりして憂さ晴らしをしていたが、その時の僕は我侭ばかり言っていたように思う。しかし、英国の友人達とは会話で思ったことをそのまま言葉にできないせいか、余計に気持ちが触れ合ったようにも思えた。他人が助けてくれようとしているのをこんなに感じたことは無かった。
その時から今まで僕はあいかわらず他人に助けられて生きている。そして少しだけども「助け合おう」と思って生きている。

できればこのサイトでニールを知った人が少しでもハッピーな気持ちになれれば僕の目的は叶うのである。
彼の歌は皆を心から笑顔にさせる歌ばかりだから。

(この項いったん終了)